【脱社畜】銀行員の失敗しない転職方法+人材紹介会社の裏(闇)

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現役銀行員「現在銀行で働いていますが、一生銀行で社畜として終わるのは嫌なので転職を考えてます。転職サイトに登録したところ、色々な人材紹介会社の方々からメッセージが届きました。だけど、どこも同じようなメッセージなので、どの人材紹介会社が良いのか正直わかりません。失敗しない転職方法を教えてください」

私は銀行とM&Aアドバイザリーファーム2社、計3社を経験しています。また、現在でも地方銀行の方とお仕事をすることもあります。

その中で一つだけ明らかに言えることは、銀行は特殊な業界だということです。中にいるときはそこまで感じませんでしたが、外に出てみるとよくわかりました。銀行はよく言えば「堅い」業界ですが、「時代の流れに乗ることが出来ていない」業界とも呼ばれています。

つまり、銀行員の転職は、ジョブシフト」だけでなく、「働き方そのもののシフト」も必要となります。

最近、銀行時代の同期や後輩からの転職相談がかなり増えてきましたが、皆さんが転職を安易に考えている傾向にあります。

確かに、上記質問者のように大手転職サイトに登録すると人材会社からひっきりなしに

「貴方のようなキャリアであれば、年収〇〇万円で〇〇や■■に行けます!ぜひ一度気軽なカジュアル面談というかたちで構いませんのでお話させてください!」

などと歯が浮くようなメッセージが来るので、「転職は簡単なんだ」と錯覚しがちになります。

しかし、そこには大きな落とし穴が待っています。

今回のブログをすべてお読みいただければ、

銀行員が転職を考える際にどういう落とし穴があるのかがわかります。

そして落とし穴を見つけるにはどうしたら良いのかもわかります。

少し長くなりますが、最後までお読みいただければと思います。

本記事の内容

  1.  銀行から他業界へ転職することの留意点

  2.  転職サイト、人材紹介会社の裏側について(闇)

  3.  失敗しないための転職方法


 記事に入る前に、私の自己紹介を簡単にしたいと思います。

 私は大学卒業後、銀行に入りました。銀行では約10年、支店や本部で法人営業を主に行いました。

 周りから見ると、順風満帆な銀行員人生と見えていたのかもしれませんが、自分の中では全くそうではなく、「早く、社畜人生から脱却したい!」と常に考えていました(このあたりのお話は別の記事で詳しく記載します)。結果、今も企業には属していますが、社畜度はかなり減り、加えて本業・副業ともに収入がアップしたため、経済的にも精神的にもかなり楽になりました。今の会社にこだわらなくとも、ある程度の生活であればどこでも家族を養えるレベルのスキルと経験も得ました。

 今回このようなブログを書くようになったきっかけは、銀行の同期や後輩から多く相談を受けるようになったので、私の周り以外にも同じような悩みを抱えている人が多いのではないかという仮説を検証したいと思った為です。

仮説検証の結果によっては、こちらを本業にする可能性もあるかもしれませんが、現時点においては人材紹介業を営んでいるわけでも、このブログで儲けようとしているわけでもなく、完全に非営利目的(ボランティア)でやってます。

よく、こういうブログにはお勧めする転職方法ということで大手転職サイトのリンクが貼られていることがあると思いますが、あれはアフィリエイトといって、完全な(サイト運営者の)商売目的です。

本当にオススメなのであればまだよいですが、大半はユーザー目線ではなく、サイト運営者が儲かるためのサイトとなっています。

しつこいようですが、このブログはアフィリエイトではなく、完全にユーザー(転職を考えている銀行員)目線で書いていますのでご安心ください。


1. 銀行から他業界へ転職することの留意点

現役銀行員「銀行業界から、別の業界に転職する際に注意する点を教えてください」

銀行員の転職を考える上では、

① 転職時の一般的な留意点

② 転職時の銀行員特有の留意点

の二つを考える必要があります。

①の一般的な留意点については、他の転職に関するサイトや書籍に情報があると思いますので、そちらに譲りたいと思います。ここでは②の銀行員特有の留意点について深く掘り下げたいと思います。

まず、「年功序列」、「定年退職」についての考え方が銀行と銀行外で大きく違います。昨今では少し変わってきたとはいえ、銀行ではいまだに「年功序列」の考えが文化として根強く残っています。

私は銀行時代の大半の上司、先輩の入行年次をいまだに覚えています。

皆さんも同じなのではないでしょうか。

それだけ年次が名前と同じく、もしくはそれ以上に重要だということだと思います。

この年次を大切にする文化が「年功序列」を生み出し、そして時代は昭和、平成、令和と変遷する中でも変わらず銀行業界では残り続けています。

一方、銀行以外では、この年次重視の考え方はほとんどありません。完全な能力重視です。

  海外投資家に英語で魅力的なプレゼンができますか? 

  検討しているM&Aのバリュエーションを算定できますか?

能力主義の世界では年次は必要ありません。むしろ、能力が無いが歳をとっているオジさんは社内からも取引先からも馬鹿にされてしまうことになるでしょう(若ければまだポテンシャルと元気でなんとかなりますが)。

また、定年退職についても考え方が全く違います。

銀行員の大半は生涯を銀行に捧げ、さらに関連会社に出向し、定年時に退職金をもらうという方がメジャーだと思います。

一方、銀行以外の業界では、定年まで働き続けるという考え方が銀行より薄いと思います。

業界にもよりますが、成長産業の業種であればあるほどその傾向は強いと感じます。

そして、デキる人ほど定年まで残らずに転職あるいは独立をしている傾向が強いと感じます。

また、銀行員が他業界に移るに際しては、時代の流れにキャッチアップする必要があります

例えば、メールを送るには上司のチェックが必要であったり、FAX、フロッピーディスクを使っていたりする銀行がいまだにありますが、時間が30年以上止まっている「化石」と考えてよいと思います。

コンシューマー向けのサービスを考えるなら、SNSを活用したマーケティングは不可避ですが、大半の銀行員は業務でSNSを活用したことが無いのではないでしょうか。

上記はあくまで一例ですが、銀行から他業界への転職というのは、一般的な転職よりも留意点が多いということを意識しないといけません

転職サイトに登録すると、人材紹介会社からたくさんメッセージが来ます。そして人材紹介会社は、いかに自分が紹介する会社が良い会社なのかを説明し、推してきます。もちろん、推してくる会社にそもそも受かるかどうかの議論もありますが、もし仮に受かってしまったとしても、「当初聞いていた話と全然違う」ということで、すぐに転職をやり直すということも十分あり得ます

なので、しっかりと留意点を理解し、相手の企業についても把握した上で転職する必要があります。しかし、99%の人材紹介会社は、自分たちの営業目線で会社を紹介してきますので、正確な情報を基に判断をすることができない人が大半なのではと思います。

2. 転職サイト、人材紹介会社の裏側について(闇)

まずは、業界構造について書きます。

最初に人材紹介会社(呼び方は色々あります。人材エージェント、ヘッドハンターなど)についてですが、簡単に言うと求人企業と求職者をマッチングさせる企業です。

参入障壁がほとんどなく(一応許認可は必要ですが、要件は緩いです)、気軽に開業できることから、現在約2万社が存在(特に都市部は飽和状態)しており、大半が中小零細企業です。

さらにややこしいのは、人材紹介会社と求職者をマッチングさせる企業もあります。皆さんが転職しようと思ったときに登録するサイト(大手でいえばBとかRとかMとか)のことです。

つまり整理すると、人材紹介会社のビジネスが成り立つためには、人材紹介会社は求人情報を企業から入手し、一方で転職したい求人者の情報も入手する必要があります

ただし、独自で求職者の情報を得ることは難しいので、登録サイトを運営している企業からその情報を買います。

登録サイトに登録後、皆さんのところにスカウトメールというものが来ると思いますが、それは人材紹介会社が登録サイト運営企業にお金を払っているというわけです。

一方で、求職者側は基本的に課金されません(中にはプレミアムプランということで求職者からも課金するサービスもありますが)。その理由は、登録サイトは人材紹介会社からお金をもらいますし、人材紹介会社は成功報酬として求人企業から手数料がもらえるからです。

ここまででお気付きかと思いますが、この仕組みは男女マッチングアプリと似ています

求人企業は男性、求職者は女性のイメージです。登録サイトは基本的に女性には課金せず、男性から課金。

ただし、大半の人材プラットフォームは、求人企業(男性)と求職者(女性)を直接結び付けるのではなく、仲人である人材紹介会社が求職者(女性)にアプローチをして、求人企業(男性)を探していきましょうという構図です。

そうすると、求職者にとっては登録から採用まで基本的に費用が掛からないので、何もリスクは無いのでは?と思う方もいらっしゃると思います。

確かに、求職者のお財布からお金が出ていくというリスクは無いです。

ただし、「タダより高いものはない」と言われるように、やはり転職においても気を付けないといけないことがあります。

それは、上記ビジネスモデルをじっくり見ればわかると思いますが、

仲人である人材紹介会社によって転職が大きく左右されるということです。

さらに具体的に書きますと、

人材紹介会社は自分たちが儲かる案件を求職者に紹介してくる可能性が非常に高いということです。

例えば、あなたは年収は現状維持あるいは少し下がっても良いから、その代わり未経験だが自分がやりたい経営企画をやってみたいと思っているとしましょう。

一方、人材紹介会社にはA社の経営企画ポジション(年収がやや下がる、さらに内定は早くても1年後)とB社の営業ポジション(年収が今より200万円UPする、さらに内定はすぐに出る)の2つの案件情報があり、どちらもあなたのスキルであれば確実に内定が取れると仮定しましょう(実際に確実に内定が取れるということは無いですが、わかりやすくするために今回はそのように仮定します)。

あなたは営業ではなく、経営企画がやりたいのですが、もし人材紹介会社が自分の利益しか考えていなかったら、A社の話はあなたにせず、B社の営業ポジションの話を積極的に推してくるでしょう。

そして最後の落とし文句は「いきなり未経験で経営企画に入ることは出来ないが、B社は部門異動はしやすい企業なので、まずは営業として中に入り、少ししたら社内公募で経営企画に申し込めばよい」と言ってくるかもしれません。

なぜなら、人材紹介会社に入る手数料というのは想定年収の約30%なので、年収が高い方が人材紹介会社にとっては好都合なのです。

さらに、手数料が人材紹介会社に入るのは内定後になりますので、内定が早い方が良いに決まってます。

さて、あなたならこのようなケースに遭遇した場合、どう考えますでしょうか?

ここには「情報の非対称性」があり、本当はあなたの実力であればA社の経営企画に入れたとしても、その情報はあなたにはわかりません。したがって、この人材紹介会社は自分のことを親身に考えてくれた結果、B社の営業ポジションを紹介してくれたといって感謝するかもしれません。

ここが大きな落とし穴です。

仲人である人材紹介会社も営利企業なので、彼らの勝手な都合で、自分の大切な人生が左右してしまう可能性があるということです。

人材紹介会社側としては、「うちは有名企業の人事とはかなり親密にやっていて、何人も送り込んでいる。面接対策もばっちりできる。我々はあなたの最大の味方です」と宣伝してくるでしょうし、確かにそのような対策をしてくれるところもありますが、

最終的には自分たちの利益を考えるところが多いのではと思いますので、

味方に見せておいて実はそうでなかったということが多いです。

さらに言うと、人材紹介会社のコンサルタントの大半が給与体系が出来高制(フルコミッション)になっていますので、

コンサルタント個人としては何としても(他の条件を無視してでも)高い年収で多くの人を採用させたい、

と考えるでしょう。

どうでしょうか。

これまでここまで考えたうえで人材紹介会社の方とコンタクトされていましたでしょうか?


3. 失敗しないための転職方法

では悪徳人材紹介会社を見極める方法はどうしたらよいかということですが、

結論としては、銀行のこと、そして人材業界のことをよく知っていて信頼できる人に相談するしかないと思います。

身も蓋もない話じゃないか、と思われるかもしれませんが、あなたのキャリア、スキルセット、そして今後のやりたいことなどを総合的に考えたうえでのアドバイスになるので、万人に通じる解決策というものは存在せず、個々の状況に応じてそのような方からアドバイスをもらうべきというのが私の結論です。

もし、周りにそのような相談できる人がいないということでしたら、

右側のサイドバーの下部にあるツイッターのDMでご連絡ください。

個人的にボランティアでやっているのでスピーディーに反応できないかもしれませんが、必ず返信させていただきます。

まとめ

  • 銀行員の転職は、転職自体の難易度+転職後の難易度があるので、企業を慎重に考える必要あり

  • 人材紹介会社には悪徳業者が多い。ただし、どこが悪徳かどうかは求職者では見極めできない
  • 信頼が出来て、銀行と人材紹介業界に詳しい人に相談すべし

 今回は以上です。